性器ヘルペスってなに?

性器ヘルペスってなに?

性器ヘルペスは、HSV-2というウイルスに感染することで発症する病気です。
実は、どの種類のウイルスにかかるかによって症状も変わってくるのです。
HSV-1のに感染してしまうと、口唇や顔にヘルペスの症状ができます。

性器ヘルペスは一度感染してしまうと、再発リスクの高い病気です。
また、性器に起こってしまうと日常生活に支障が出てしまうこともあります。
早期に治療し、再発防止に努めることが重要となります。

では、性器ヘルペスとはなにか…について詳しく説明していきたいと思います。

性器ヘルペスの症状

性器ヘルペスのは文字通りに性器に症状が起こります。
主な症状としては、赤く腫れてしまったり、ぶつぶつとした出来物ができてしまったり、水ぶくれや潰瘍などが出てしまいます。
これらの症状は性別関係なく、男性、女性共に起こる症状となります。

しかし、性別によっても起こる症状が異なってくるため詳しく見ていきましょう。

男性の症状

男性の場合には陰茎に症状が起こります。
主に陰茎の亀頭、冠状溝、包皮といった部分に症状が集中します。

水ぶくれや潰瘍が陰茎にできてしまうと、かゆみや痛みといった症状が起こります。
また、下着やズボンによって擦れてしまうことで水ぶくれの症状が悪化してしまうこともあります。

尿道から分泌物が出てくることもあります。
一部に集中して症状が起こることがあるので、強い痛みやかゆみが起こることもあります。

女性の症状

女性の場合には外陰部に症状が起こることが多くなっています。
外陰部は隠れている部分であるためヘルペスウイルスが増殖しやすくなっているのです。
外陰部にも赤みや腫れ、水ぶくれ、潰瘍などの症状が起こります。

女性の場合には、生理などが起こるとどうしても性器は不衛生になってしまいます。
また、湿っていて暖かい場所ではウイルスも繁殖しやすいです。

その他にも、肛門や太もも、膣にも症状が起こることもあります。
膣に症状がある場合には、重症化しやすくなってしまうこともあるので注意が必要です。

女性は男性よりも症状が重症化しやすいという特徴があります。
また、排尿時に痛みを伴ったり、膀胱炎になってしまうこともあります。

性器ヘルペスの原因

性器ヘルペスの原因はHSV-2というウイルスです。
このウイルス自体は性器ヘルペスの症状を引き起こすものですが、ヘルペスにはその他にも原因となる8種類のウイルスがあります。

ここでは性器ヘルペスの原因について見ていきましょう。

【HSV-2】(単純ヘルペス2型)

性器ヘルペスと言われているものは、HSV-2というの単純ヘルペス2型と言われるウイルスです。
主な感染経路は性行為によるものとされています。

単純ヘルペス2型を持っている人の粘液に触れることで感染します。
そのため、キスでの唾液やオーラルセックスでも感染します。
女性の場合には、挿入時に感染することで膣に感染してしまうこともあります。

性器ヘルペスの場合には、一度感染してしまうと再発のリスクが高く、初めて感染し発症すると発熱のリスクがあったり重症化しやすくなってしまいます。
性器ヘルペスの感染を防ぐためには、不特定多数との行為を避けること、コンドームを着用することが挙げられます。

また、性器ヘルペスの場合にはHIVのリスクもあるため、注意が必要となります。

その他のヘルペス

その他に7種類ものウイルスがありますが、性器ヘルペス以外のヘルペスウイルスについても見ていきましょう。

【HSV-1】(単純ヘルペス1型)

HSV-1は単純ヘルペス1型と言われており、口唇ヘルペスの原因となります。
口唇ヘルペスは口や唇、顔などを含めた上半身に起こるヘルペスです。

一般的な病気となっていますが、女性の感染率の方が高いとされています。
唇や口の周辺に水ぶくれが起こり、赤みや皮膚の違和感などの症状を発症してしまう病気です。

VZV(水痘・帯状疱疹ウイルス)

VZVは水痘・帯状疱疹ウイルスと言われており、水疱や帯状疱疹の原因となります。
水痘は一般的には水ぼうそうと言われている病気です。
帯状疱疹は皮膚に帯状の水ぶくれが並んでできてしまう症状の病気です。

水痘に関しては、子供の頃にワクチンを打つことである程度は感染や発症を抑えることができます。
どちらも発症してしまうと皮膚に症状が起こり、赤みや痛みを伴います。

EBウイルス(エプスタイン・バールウイルス)

EBウイルスは、エプスタイン・バール・ウイルスと言われており、唾液や性分泌液によって感染してしまいます。
また、腫瘍が感染してしまい、悪性リンパ腫や胃がんなどを発症する原因ともされています。

基本的な症状は発熱やリンパ節の腫れ、咽頭炎などがあります。
通常では一週間から一か月ほどで治ります。

【HHV-5】(サイトメガロウイルス)

HHV-5はサイトメガロウイルスと言われており、肺炎などを発症します。
先天性の感染と後天性の感染があり、先天性の場合には無症状であることも多くなっています。
後天性の場合には、発熱や肝機能異常や肺炎、髄膜炎などの幅広い症状を起こす恐れがあります。

主な感染経路は母子感染、体液や分泌液による感染、輸血や臓器移植によって感染してしまうこともあります。

【HHV-6】(ヒトヘルペスウイルス6)

HHV-6はヒトヘルペスウイルス6と言われるもので、子供の間に感染するとされています
早い場合には生後1ヵ月以内に感染してしまうこともあり、脳炎やリンパ節腫脹、心筋炎などの症状を引き起こす急性の症状が多くみられる病気となります。

主な感染経路は唾液によるものとされています。
唾液から感染し、潜伏期間を経て体内の様々な箇所で発症します。

【HHV-7】(ヒトヘルペスウイルス7)

HHV-7はヒトヘルペスウイルス7と言われるもので、HHV-6同様に幼少期に感染するとされています。
乳児の皮膚に症状が起こることが多く、突発性発疹症などの症状を起こします。
また、慢性持続性肝炎、熱性けいれん、急性小児麻痺合併を引き起こす恐れもあります。

主に唾液から感染するとされおり、成人のほとんどはHHV-7に対しての免疫を持っていると言われています。

【HHV-8】(ヒトヘルペスウイルス8)

HHV-8はヒトヘルペスウイルス8と言われるもので、カポジ肉腫の原因となるウイルスです。
HIV感染者に多くみられる感染症で、免疫力が下がっている血管内皮細胞に感染することで発症します。

主な感染経路は日和見感染となり、HIV感染者の場合には症状が重症化してしまうことが多くなります。

ヘルペスウイルスには様々なものがあるため、一口にヘルペスと言うのは難しいかもしれません。
いずれにしても、ヘルペスウイルスは皮膚症状を伴います。 また、感染経路も唾液感染や性分泌での感染が主です。

ヘルペス治療薬の種類

ヘルペスの治療薬には大きく分けて3種類の治療薬があります。
それぞれに作用するものが異なるため、自分の症状や用途に合わせて選択するようにして下さい。

バルトレックス

バルトレックス

バルトレックスの有効成分はバラシクロビルです。
バラシクロビルはヘルペスウイルスの増殖を抑え、皮膚症状の悪化を防ぐ効果があります。
口唇ヘルペスと性器ヘルペス、水疱や帯状疱疹にも効果があります。
また、治療だけでなく再発予防にも使用することができます。

口唇ヘルペスでは1日2回、1回500mgを服用し、性器ヘルペスでは1日1回、1回500mgを服用して下さい。
性器ヘルペスに対しては1年間の継続服用で再発を予防することができます。

主な副作用には、蕁麻疹、嘔吐、頭痛、めまい、腹痛、下痢、腎障害などがあります。

用量 500mg 1000mg
21錠 - 5,700円
42錠 6,650円 10,260円
84錠 11,970円 18,240円

ゾビラックス

ゾビラックス

ゾラビックスの有効成分はアシクロビルです。
アシクロビルは短期間で治療することができ、ウイルスの増殖や症状の悪化を防ぐことができます。
初期段階の服用によって高い効果が発揮されます。
口唇ヘルペスや性器ヘルペスだけでなく帯状疱疹に対しても効果があります。

ヘルペスには1日5回、1回200mgを服用して下さい。
初期感染での治療の場合には10日間、再発では5日間服用して下さい。
成人の性器ヘルペスの場合には再発防止の効果はありません。

主な副作用には、頻k熱、嘔吐、下痢、腹痛、傾眠、胃痛、頭痛などがあります。

用量 200mg 400mg 800mg
25錠 2,250円 - 6,300円
50錠 4,050円 6,300円 11,340円
100錠 - 11,340円 -

ファムビル

Famcimac

ファムビルの有効成分はファムシクロビルです。
腎機能が低下している方でも使用することができ、ペンシクロビルのプロドラッグです。
細胞内でのDNAの合成を阻害することから、腎排泄の負担を軽減し、ヘルペスウイルスの増殖を抑えます。
口唇ヘルペスと性器ヘルペス以外にも、帯状疱疹に効果があります。

ヘルペスでは1日3回、1回250mgを服用して下さい。
ヘルペスの再発の治療の場合には1日2回、1回1000mgを服用して下さい。
原則として5日間は服用するようにして下さい。

主な副作用には、頭痛、経妊、下痢、悪心、動悸、腹痛などがあります。

治療薬によっては予防ができるものとできないものがあります。
また、自身が抱えている持病がある場合には、選択することのできる治療薬も決まってしまうので注意して下さい。

用量 250mg
12錠 2,850円
60錠 13,500円
90錠 18,000円

ヘルペスの重症疾患

ヘルペスを発症してしまい、重症化してしまうことで別の疾患を発症してしまうこともあります。
ヘルペスの症状ですら辛いのに、重症疾患まで出てきてしまうと大変です。
では、どのようなヘルペスの重症疾患があるのか見ていきましょう。

ヘルペス角膜炎

ヘルペス角膜炎は、単純ヘルペスウイルスが角膜に感染してしまうと引き起こります。
主な症状には涙が出る、目が充血する、見えにくくなるなどの症状があります。

ヘルペスの症状が起こっている部分を触った手で目を擦ってしまうと、目にもヘルペスウイルスが移ってしまいます。
これが原因となり発症してしまうのです。
感染を予防するためには、バスタオルなどを使い回ししないことあります。
また、ヘルペスウイルスを発症している場合には、患部を触らないようにして下さい。

ヘルペス角膜炎は再発を頻発してしまうと、失明してしまう恐れもあります。
できるだけ再発しないように予防や対策を取ってください。

ヘルペス脳炎

ヘルペス脳炎は単純ヘルペスウイルスが脳に感染してしまうことで起こります。
免疫力が低下している際に再活性することで引き起こる急性の脳炎となります。
口唇ヘルペスの場合は命に関わることはありませんが、ヘルペス脳炎の場合には命にかかる病気となります。

発症すると、発熱や頭痛といった症状が起こります。
これを処置せずに放置してしまうと、意識障害やけいれん発作を引き起こします。

発症後命を取り留めることができても、後遺症が残るリスクが高くなっています。
明確な予防法があるわけではなく、免疫力を低下させないことが対策となります。
ヘルペス脳炎の場合には、発熱や頭痛が起こる前に精神症状が起こることもあるため、早期に気付くことが大切です。

この記事はこちらを参考にしています。
性器ヘルペス - 日本性感染症学会


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